エンジニアの種類が多すぎて迷子になっていませんか?
IT業界で働いていると、聞き慣れない「〇〇エンジニア」が次々と出てくる。
アプリケーションエンジニア、SRE、MLOpsエンジニア……どれもカッコいいけれど、
「結局どんな仕事をする人?」と聞かれたら即答できるだろうか。
この記事では、IPA(情報処理推進機構)のITスキル標準(ITSS)を軸に、一般的な〇〇エンジニアがどのロールに含まれるかを整理する。
これを読めば、今の自分がどのポジションにいるのか、そしてどこを目指すべきかが見えてくるはずだ。
まず答えをお見せします
待たせてもしょうがないので、先に一覧をどうぞ。
これが「IPAの職種/専門分野」と「一般的な〇〇エンジニア」の対応表だ。
| ITSSの職種/専門分野 | 該当する〇〇エンジニア |
|---|---|
| ソフトウェア職種:アプリケーション開発 | アプリケーションエンジニア、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、フルスタックエンジニア、ゲームエンジニア |
| ソフトウェア職種:組み込み・制御系開発 | 組み込みエンジニア |
| ソフトウェア職種:テスト・品質保証 | QAエンジニア、テストエンジニア |
| データベース専門分野 | データベースエンジニア |
| インフラストラクチャ/システム基盤 | インフラエンジニア、ネットワークエンジニア、クラウドエンジニア、SRE(サイト信頼性エンジニア) |
| システム運用・保守 | SRE(運用寄り)、DevOpsエンジニア(運用自動化) |
| セキュリティ専門分野 | セキュリティエンジニア |
| データ分析・AI活用分野 | データエンジニア、機械学習エンジニア(MLエンジニア)、MLOpsエンジニア |
| インテグレーション・構成管理 | DevOpsエンジニア(CI/CD、構成管理) |
なぜこの対応表が役に立つのか
1. キャリアの現在地がわかる
自分が「インフラエンジニア」と名乗っていても、IPA的には「インフラストラクチャ職種/専門分野」に分類される。
つまり求められるスキルや習熟度が明確化され、次にどんなスキルを伸ばせばいいかが見える。
2. 社内評価や転職に強い
ITSSは人材育成・評価の指標として多くの企業が参照している。
「ITSSレベル3相当のインフラエンジニアです」といえば、業界人にはピンと来る。
ただの「ベテランです」より説得力がある。
3. 学習計画が立てやすい
例えば「データエンジニアを目指したい」なら、ITSSのデータ専門分野で定義されているスキル(ETL、DWH、分散処理基盤)を学べばいい。
ゴールが明確なので、資格や学習教材も選びやすい。
具体例でイメージしやすくしよう
ケース1:SREの場合
SRE(Site Reliability Engineer)は新しい職種に見えるが、ITSS的には
「インフラ基盤の設計・構築」+「運用・監視・信頼性向上」の複合ロールだ。
つまり、インフラと運用の両スキルをバランスよく鍛える必要がある。
ケース2:フルスタックエンジニアの場合
フルスタックエンジニアはカッコいい肩書きだが、ITSSではフロントとバック両方の専門分野を跨ぐ人。
要するに、「レベル3のフロント+レベル3のバックエンド」みたいな複合スキルセットが必要になる。
ケース3:MLOpsエンジニアの場合
MLOpsエンジニアは、データ分析分野と運用分野を結ぶ橋渡し役。
機械学習モデルのデプロイ、CI/CDパイプライン、モニタリング……これらがIPA的には
「データ分析系スキル+運用自動化スキル」として整理されている。
要点を押さえてキャリアを加速させよう
IT業界の「〇〇エンジニア」という呼び方は日々増え続けている。
しかし、IPAのITSSに当てはめれば、どのスキルセットが求められるか明確になる。
- 肩書きに惑わされず、ITSSの職種・専門分野を意識する
- 今のスキルレベルを自己評価してみる
- 次に身につけるべきスキルを逆算して学習する
キャリアを伸ばす最短ルートは、正しい地図を持つこと。
ITSS対応表はその地図のひとつだ。
今日から、自分のポジションを確認してキャリア戦略を立ててみよう。


