IT業界に抱く「キラキラ幻想」
ITエンジニアと聞くと、最新のMacBookを片手にカフェでコードを書き、Slackで「いい感じにやっときました!」とやり取りする姿を想像する人は多いだろう。あるいは、自由な服装、フラットな組織、リモートワーク、昼寝もできるオフィス──そんな「シリコンバレー的キラキラ生活」を夢見ているかもしれない。だが残念ながら、それはごく一部の現場だけだ。大多数のIT現場は、泥臭くて地味で、時に心が折れそうになるほど地道な作業で成り立っている。
結論:ITの現場はキラキラより「泥臭さ」と「粘り強さ」が求められる
エンジニアという職業は決して「華やかな仕事」ではない。むしろ細かい検証、地味なバグ修正、仕様変更との格闘が大部分を占める。もちろん最新技術に触れるワクワク感や、システムを完成させる達成感はある。しかし、日常の大半は派手さのない作業だ。「キラキラ」を期待して業界に飛び込むとギャップで挫折する可能性が高い。逆に地味な作業に喜びを見出せる人こそ、長く活躍できる。
現場のリアルな日常
エンジニアの時間の使い方
ある調査によれば、エンジニアが一日の中で「純粋にコードを書いている時間」は3割程度だという。残りは以下のような業務に費やされている。
- 要件定義や仕様確認のミーティング
- テストコードの作成・実行
- バグ調査と修正
- ドキュメント作成
- 顧客や上司への報告
つまり「1日中カタカタとコードを書いている」というイメージは幻想だ。むしろ人と話す・調べる・修正する時間の方が圧倒的に多い。
最新技術よりも「レガシーシステム」との付き合い
エンジニアになればAIやブロックチェーンを扱えると思っている人もいるだろう。だが現実は、20年前に作られたシステムの保守や、誰が書いたかもわからない謎のコードを解析する仕事の方が圧倒的に多い。「最新技術」と「レガシー技術」の間で戦うことがエンジニアの日常だ。
トラブルは必ず起こる
システム障害は深夜でも休日でも待ってはくれない。サーバが落ちれば復旧作業、バグが出ればデバッグ祭り。ユーザーが増えれば性能問題、仕様変更が来ればスケジュール見直し。キラキラどころか、常にトラブルと背中合わせなのが現場だ。
データで見る現場の実態
とある業界調査では、エンジニアの不満として以下が挙げられている。
不満要因 | 割合 |
---|---|
仕様変更の多さ | 45% |
ドキュメント不足 | 38% |
残業・休日対応 | 32% |
レガシー環境の多さ | 28% |
スキルアップの機会不足 | 20% |
こうした課題は地味だが現実だ。だが裏を返せば、これらを一つひとつ解決できる人材が現場で重宝される。
それでもエンジニアの仕事は面白い
ここまで読むと「やっぱりIT業界は大変そうだ」と思うかもしれない。しかし、だからこそエンジニアは面白い。複雑な課題を解決した瞬間、バグをつぶした瞬間、ユーザーに「ありがとう」と言われた瞬間──そこに大きなやりがいがある。「泥臭さの先にある達成感」こそがエンジニアの醍醐味だ。
まとめ:キラキラ幻想を捨て、地に足をつけて挑め
IT業界は決して「華やかさ」だけで語れる世界ではない。むしろ粘り強さ、地道な努力、問題解決力こそが評価される世界だ。文句を言いながらも夜中にバグを直し、顧客の要望に頭を抱え、仲間と一緒にシステムを完成させる。そのプロセスにこそ、本当のやりがいがある。
これからエンジニアを目指す人は、「キラキラ」を夢見るよりも、泥臭い現実を受け入れられるかどうかを自問してほしい。もし「それでも挑戦したい」と思えるなら、エンジニアは最高のキャリアになるはずだ。