「Javaは古い」なんて言わせない
IT業界にいると必ず耳にするのが「Javaはもう古いよ」「最近はモダンな言語が主流だから」などの発言だ。特に若手エンジニアからすると、Javaは教科書や研修でやらされるだけの退屈な言語に見えるかもしれない。しかし実際には、Javaは今も世界の基盤を支える圧倒的な存在だ。この記事では、Javaが築いてきた功績と、なぜ今もエンジニアにとって重要なのかを解説する。
結論:Javaは「レガシー」ではなく「レジェンド」だ
Javaは古くなったどころか、今なお進化を続けている。銀行の基幹システムからAndroidアプリ、クラウド環境のバックエンドまで、ありとあらゆる場所で稼働している。Javaがなければ、いま私たちが当然のように利用しているサービスの多くは存在しないと言っても過言ではない。つまり、Javaは「過去の遺産」ではなく「現在進行形の柱」なのだ。
Javaが世界に与えたインパクト
Javaの功績を語るなら、その歴史的なインパクトを無視できない。以下の3つの点は特に重要だ。
1. 「Write Once, Run Anywhere」を実現
Javaの登場時に掲げられたスローガンは「一度書けばどこでも動く」。CやC++がプラットフォーム依存で苦労していた時代に、JVM(Java Virtual Machine)の仕組みにより、WindowsでもMacでもLinuxでも同じコードが動く世界を実現した。これは当時、革命的だった。
2. エンタープライズ開発の標準を作った
Java EE(現Jakarta EE)は、Webアプリや業務システム開発のデファクトスタンダードを確立した。Spring Frameworkのようなライブラリ群も登場し、「大規模開発はJavaでやる」という常識が業界に根付いた。今日でも多くの金融・公共系システムがJavaで動いている。
3. Androidの普及に貢献
スマートフォンが普及する過程で、Androidアプリは長らくJavaがメイン言語だった。これにより、Javaはモバイル時代にも確固たるポジションを築いた。Kotlinが登場しても、Javaの資産はそのまま活かされている。
データで見るJavaの存在感
「でも最近はPythonやJavaScriptが人気なんじゃないの?」と思う人も多いだろう。実際のデータを見てみよう。
言語 | TIOBEランキング(2025年1月時点) | 主な利用分野 |
---|---|---|
Python | 1位 | AI、データ分析、教育 |
Java | 3位 | 業務システム、Web、Android |
JavaScript | 7位 | Webフロントエンド |
順位は下がったように見えるが、Javaは依然としてTOP3に君臨し続けている。しかもその利用分野は基盤システムや金融系など、長期的に需要が見込まれる分野ばかりだ。
事例:Javaが支える現場
具体的にどんな場面でJavaが使われているのか、いくつかの事例を挙げてみよう。
- 銀行の勘定系システム:数十年にわたり稼働し続ける巨大システム。止まると経済が止まる。
- 大規模ECサイト:商品検索、在庫管理、決済といった大量トランザクションを処理。
- 公共インフラ:電力や交通系システムで利用。安定稼働が最重要。
- Androidアプリ:今もJavaベースの資産が膨大に残っている。
こうした分野は、流行りのフレームワークや新しい言語に簡単に置き換えられない。だからこそJavaは「なくならない言語」なのだ。
進化を続けるJava
「でもJavaって古臭い書き方しかできないんでしょ?」と思うかもしれない。しかし実際にはJavaも進化している。
- ラムダ式(Java 8):関数型プログラミングの要素を導入
- レコード型(Java 16):データクラスを簡潔に表現可能
- パターンマッチング:条件分岐がスマートに書けるように
つまりJavaは「古いけど新しい」という不思議な立ち位置を維持している。これは単なるノスタルジーではなく、実用に耐える進化の結果だ。
まとめ:Javaはこれからも現役
Javaは古いどころか、今も現役で業界を支えている。基幹システムを守り続けてきた功績も、進化し続けている柔軟さも見逃してはいけない。エンジニアとしてJavaを理解しておくことは、キャリアを築くうえで大きな武器になるだろう。
流行りの言語を学ぶのも良いが、「土台を作る言語」としてのJavaの存在意義を忘れてはいけない。もしまだJavaに触れたことがないなら、一度手にとってみるべきだ。気が付いたら「やっぱりJavaってすごい」と言っているはずだ。